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『特捜検事から「裏」弁護士へ 闇社会を証言する一冊』

 バブルを跨いで特捜検事と弁護士として日本の戦後を覆った経済事件に関与し、自らも詐欺容疑で逮捕され、現在上告中の弁護士 田中森一が執筆した自叙伝が話題を呼んでいる。

 この書籍は「反転 闇社会の守護神と呼ばれて」(幻冬社:1,700円+税)と題して、大阪と東京の地検特捜部で携わった事件の華々しい成果と捜査の限界・挫折、差別社会の実態、その後弁護士に転じて、バブル景気とあいまっての信じ難い報酬と金銭感覚、またバブル紳士たちとの関係とかれらの生態、闇社会や政治家との深い繋がりが克明に描かれている。

 当時日本経済を揺るがした平和相互銀行事件、三菱重工CB事件、イトマン事件、住専事件やフィクサーとして名を馳せた許永中、当時の住友銀行を手玉にとった伊藤寿永光など実名で生生しく登場する。

 また山口組若頭の宅見勝組長との出会いと交流そしてその最後、また以前に労働大臣まで努めた政治家の驚くべきあきれた生態、など印象深い記述が多い。また税務署がどうしても手出しができない日本の闇の社会や、検察庁が捜査の手を伸ばせない限界など、すべて実体験からくる記述が類書を見ない迫力で迫ってくる。日本の戦後経済・社会の一断面を映す貴重な証言といえるのではないか。