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『☆財務諸表と資金調達☆ 1 1 . リスク・キャピタル』

 リスクの定義、認識が終わると、次にリスクの計量化が問題となる。1990年代の金融工学の発展で、リスクを計量化する手法が著しく発展した。

 まずリスクの定義であるが、一定期間における価格の変動幅(標準偏差)をリスクと定義したことから、金融工学の著しい進化が始まる。ある時点におけるバランスシ-トの各項目が、どの程度価格変動リスクを有しているかを個別に計算し、その価格変動リスクを合計した数値こそが、企業のバランスシ-トが有するリスクの大きさを示すこととなる。この価格変動リスクの合計値が、リスク・キャピタルと呼ばれるものである。

 例えば売掛債権は、過年度における貸倒の割合がリスクと認識され、有価証券の場合は、過年度におけるその価格の変動率(ボラティリティー)がリスクと認識される。償却資産は、残存価値を除く部分がリスクと認識される。決済性預金以外の預金も信用リスクがあり、それがリスクと認識される。

 このように計算・合計されたリスク・キャピタルを、純財産と比較することにより、財務の安全性が客観的に導かれる。リスク・キャピタルが純財産を超えていれば、その企業の事業リスクは株主以外の債権者にも及ぶことになり、財務の安全性が低下する、という見方をすることができる。(次回は、「チェックリスト」)