解雇期間中に他社で得た収入について
―解雇無効の判決が出た場合の賃金―
◆解雇期間中の賃金
裁判に持ち込まれる解雇紛争は大変多くなっています。しかし、裁判の結果、解雇無効とされた例も多くあり、解雇とされた労働者が、解雇期間中に他社で働き収入を得たとして、その後解雇無効となった場合、解雇期間中の賃金をどう扱えばよいでしょか?
◆民法536条第2項
民法第536条第2項後段には「自己の債務を免れた
ことによって利益を得たときは、これを債権者に償還
しなければならない。」とあります。労働者は、その
会社で労働しない期間に他の会社で働いて得た収入は
本来の会社に返さなければならないとしています。
◆裁判では
不就労期間中の他社就業についての主な参考判例に
は、平成18年3月28日最高判決 (平成15年(受)
第1099号事件)では、解雇された労働者が解雇無効
を訴えて争っている期間中に他社で働いて得た賃金の
扱いをめぐって争いとなった事件です。
この裁判では「債務(労働)を免れた利益として
これを償還すべきだが、平均賃金の6割までの部分に
ついては償還の対象とすることは許されない」としま
した。6割までというのは労基法第26条で、「使用者
の責に帰すべき事由においては、使用者は休業期間中
当該労働者にその平均賃金の100分の60以上の手当
を支払わなければならない。」とされており、労基法
上、休業期間中は6割以上の休業手当を補償されてい
るためです。ですから、本来の会社としては、労働者
に対して、解雇期間中にその労働者が他社で働いて収
入を得ていたとしても、平均賃金の6割は支払う義務
があるということです。
◆解雇期間中賃金の計算例
本来の会社での解雇期間中の賃金が30万円、平均賃金の6割が18万円と仮定します。他社で20万円稼いでいたとすると、30万円-20万円=10万円で、10万円支払えばよさそうに思えますが、判例によれば平均賃金の18万円が下限なので、他社で20万円稼いでいたとしても、18万円は支払わなければなりません。
